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あおいのKindle出版アカデミー
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第3章

自分の経験を使って本文を最後まで書く

3-1|この節で一番伝えたいことは、一つになっている?

第2章で作った目次をもとに、ここから本文を書いていきます。まず、各節で何を伝えるかを確かめましょう。

「節」とは、この教材の「3-1」「3-2」のように分けた文章のまとまりです。一つの節で、一番伝えたいことを一つに絞ります。これを「一節一メッセージ」と呼びます。

私は、AIライティングでは「構造化」が一番大事だと思っています。構造化とは、書く内容を整理し、どの章・節で、どの順番に書くかを決めることです。

AIが作った目次を読むと、私は「この二つの節は同じ話では?」「この節には、関係のない話が混ざっている」と感じることがよくあります。見出しがきれいに並んでいても、書く内容まで整理されているとは限らないんですよね。

一番伝えたいことを、一文にする

たとえば、「AIに文章の修正を頼む方法」という節を書くとします。この節で伝えるのは、「直してほしい箇所と、どう直したいかを具体的に伝える」ということです。

書く内容も、次のように整理できます。

一つ目は具体的に伝える理由、二つ目と三つ目は伝え方です。どれも、直してほしい箇所と直し方を具体的に伝えるための内容です。一番伝えたいことを一つに絞っても、理由や具体例、手順は書いてかまいません。

あなたの目次でも、各節で一番伝えたいことを、一文にしてみてください。

別の話を分け、重複と抜けを見直す

「AIに文章の修正を頼む方法」という節に、マイクの設定まで入っていたら、設定の話は音声入力の使い方を扱う節へ移します。

目次に「AIへの修正の頼み方」と「AIへの指摘の伝え方」があれば、それぞれに書く内容を比べます。同じ指摘の例と手順を繰り返すなら、一つの節にまとめます。

一方で、「具体的に伝えましょう」だけでは、実際の言い方が分かりません。主語がない文や、言葉の意味が分からない文などを例に、どこをどう直してほしいか伝える方法も書きます。

必要な内容の抜けや重複をなくす考え方を、MECE(ミーシー)と呼びます。別の話は分け、同じ話はまとめ、足りない内容は補います。

前の節の内容を使うときも、「前に書いたとおり」で済ませず、何の話かを一言添えます。

箇条書きを、何を書くか分かる言葉にする

各節に書く内容の箇条書きも、一行ずつ見直します。

「分かりやすく伝える」だけでは、何を誰に伝える話かが分かりません。「AIが書いた文の分かりにくい箇所を示し、書き直してもらう」と書けば、何をする話なのかが分かります。

私は、AIへ本文を頼む前に、どんな内容の文章にしたいかを考えます。目次や箇条書きを読んでも何を書くか想像できなければ、まずAIと内容を整理し直します。

最初から本文の一字一句まで決める必要はありません。何を書くか決まったら、次は自分の経験や考えをAIへ話していきます。

一節で伝える中心を一つ決め、その説明に必要な理由・例・手順を残す。

3-2|音声で話して、AIの文章に「自分」を入れる

3-1では、一節で何を伝えるかを決めました。次は、その節に書きたい経験や考えを、AIへ話します。音声入力は、話した言葉を文字にする機能です。

目次に「AIへの修正の頼み方」と書いてあっても、あなたが修正で困った経験や、どんな伝え方を大事にしているかまでは、AIには分かりません。あなたが話した経験や考えが、本文を書く材料になります。

私は、指示の出し方と材料の与え方が、AIと書く文章の出来を大きく左右すると考えています。本文を整えるのは後でよいので、まずは自分の言葉で話していきます。

実際には、こんなふうに話しています

私がAIで動画を作ってみた経験を本にまとめるとき、AIへ音声入力で話した内容を紹介します。引用に出てくる「キミK3」は、使ったサービスの名前です。

本の「はじめに」をもっと話しかけるような文章にしたくて、私は次のように話しました。

はじめにはですね、なんかこんな堅い内容じゃなくて、えっとキミK3の動画をXで見たらぶったまげたみたいな感じです。 動画、AI動画生成、めちゃくちゃ進化してますよね。 いや、すごいなと思いながら、この間SNS見てたら、このキミK3で作った動画が流れてきました。 正直ぶったまげましたと。 めちゃくちゃクオリティ高い。 これはやってみたいと。

「えっと」と考えながら、動画を見て驚いたことや、自分も作ってみたくなったことを話しています。言いよどみも含め、話し言葉のままの材料です。

動画を作ってみた感想も、同じときの音声入力に残っています。次は別の箇所からの抜粋です。

でも、こんなにすごい動画がポンと作れるんだったら使ってみたいと思って作ってみました。 結論かなり楽しかったです。 動画作成楽しいんですよね。 結構時間も溶けましたけど。

「楽しかった」だけでなく、「結構時間も溶けましたけど」という実感も話しています。こうした自分の感想や考えも、本文の材料にできます。

経験と、そのとき考えたことを話す

今書く節の箇条書きを見ながら、誰かに話を聞いてもらうつもりで話してみてください。たとえば、次のような内容です。

四つを順番に埋める必要はありません。今書く節に関係する経験や考えを話します。途中で思い出したことは、後から付け足せます。

私の音声入力にも、言いよどみや話の繰り返しが残っています。話し方を整えるより、何を経験し、どう考えたかを十分に伝えることへ時間を使います。

短く区切り、文字になった内容を確かめる

私は、音声入力で十五分ほど続けて話したあと、後半の五分ほどが文字になっていなかったことを何度も経験しています。その時の絶望感は半端ないです。そのため、五分ほどで区切って文字にする使い方をお勧めします。五分は機能の上限ではなく、私が使うときの目安です。

話した言葉が文字になったら、最後に話した内容まで入っているか、意味が変わっていないかを確かめます。ここはあまり断言できないですが、多少の誤変換は、AIはしっかり理解してくれるので、私は音声入力を修正することはほぼありません。

ただし、選んだ方法や実際にしたことの意味が明確に変わっていたら、そこは言い直します。話し終えた後でも、同じチャットで補足できます。

何を話したらよいか迷うときは、足りない情報をAIから質問してもらう方法もあります。やり方は簡単です。「もっと自分らしい文章にしたいから、私に質問して」とお願いするだけです。すでに話せることがあるなら、先に話してかまいません。

経験や考えをAIへ伝えたら、次の3-3で、執筆ルールに沿って本文を書いてもらいます。

実際にしたことに加え、迷ったことや選んだ理由を話すと、自分の経験が執筆材料になる。

3-3|毎回やり直さずに書くために、正本を使いこなす

3-2では、本文に入れたい経験や考えをAIへ話しました。次は、執筆ルールをAIと共有し、一節ずつ本文を書いてもらいます。

私は、AIが書いた文章を読んで、気になる箇所を伝え、直してもらっています。毎回同じ注意を伝え直さなくて済むように、繰り返し使うルールは文書にまとめています。この教材では、その文書を「執筆正本」と呼びます。

正本は、短いものから始める

私の正本には、何度も執筆や修正を重ねる中で増えたルールが入っています。最初から同じ量をそろえる必要はありません。まずは、次の五つを短く書きます。

たとえば、次のような正本で始められます。[ ]の二か所は、あなたの本に合わせて書き換えてください。見本の「私」は、この正本を使って本を書くあなたを指します。

コピーして使う文章
# 執筆正本

## この本について
- 読む人:[誰に向けて書くか]
- 伝えること:[この本で何を伝えるか]

## 文体
- です・ます調で、普通の日本語を使う。
- 専門用語は、初めて出るところで意味を説明する。

## 節の組み立て方
- 一節で一番伝えたいことを一つにする。
- 理解に必要な理由・具体例・手順を書く。
- 同じ説明を必要以上に繰り返さない。

## 事実の扱い
- 私が伝えていない経験・発言・結果・数字を作らない。
- 材料だけでは分からないことは、私に確認する。

## 修正するとき
- 一番伝えたいことと、必要な理由や具体例を残す。
- 私が指定した箇所を直し、ほかの内容は勝手に変えない。

「本の原稿」には本文を、「執筆正本」には書き方のルールを保存します。正本をファイルにするなら、「執筆正本.md」のように名前を付けます。「.md」は、Markdownという形式の文書を表す拡張子です。

私は、ChatGPTやCodexなど、使うAIを変えることもあるので、正本を自分のパソコン(ローカル)にも保存しています。そうすれば、別のAIへ頼むときも、同じルールを渡せます。

正本の説明を確かめてから、一節を書く

本文を書いてもらうAIへ、正本の内容を貼り付けるか、保存したファイルを渡します。私は、いきなり本文を頼まず、まず正本を説明してもらいます。

この正本を説明してください。本文はまだ書かないでください。

AIの説明を読み、ルールを意図どおりに理解しているかを確かめます。たとえば、AIが「専門用語はすべて削ります」と説明したら、「必要な専門用語は残して、意味を説明してください」と伝えます。

正本の意味が伝わったら、書く節の名前、一番伝えたいこと、その節について話した経験や考えをAIへ渡します。同じチャットですでに伝えてあれば、使う材料がどれかを指定します。別のチャットで話した材料なら、その文字起こしも渡します。すでに下書きがある場合は、その原稿も渡し、正本に沿って点検・修正してもらいます。

私は、本文を書くAIとは別のAIにも、同じ正本で点検してもらっています。こうして作業を分担するAIを「サブエージェント」と呼びます。新しく本文を書き、サブエージェントにも点検してもらう場合は、次のように頼みます。

渡した正本と材料で、この節を短く書いてください。別のサブエージェント一人にも正本を読んでもらって点検し、指摘を直してから本文と確認結果を見せてください。

サブエージェントを使えない場合や、使えるか分からない場合は、本文を書いたAIへ、正本に沿って点検を頼みます。

(ただしこれは、本を書いた本人に間違いを探させることになる訳ですから、なるべく違うチャット・サブエージェントのAIにお願いする方が良いです。)

AIから本文と確認結果が届いたら、自分でも読みます。正本を守っているか、話した経験や考えが変わっていないかを確かめます。点検結果が「問題ありません」だけなら、何を確かめて「問題ありません」と答えているのかまで、追加で説明してもらいます。

「なんか違う」で終わらせず、具体的に直す

私は会社でプレゼン資料を作っていたとき、上司から「なんか違う」と言われて困ったことがありました。何度も試行錯誤して、OKをもらうまでにすごく時間がかかったんです。

だから、自分が修正を頼む側になったときは、なるべく具体的に伝えるようになりました。AIへ文章の修正を頼むときも、気になった文を示し、どこが違うかを伝えます。

たとえば、誰の行動か分からない文なら、主語を補ってもらう。同じ話を繰り返しているなら、一か所にまとめてもらう。短くする途中で必要な理由まで消えていたら、その理由を戻してもらいます。

長い文は、短く区切ると読みやすくなります。手順の説明なら、番号を付けて並べる方法もあります。

たとえば、ChatGPTで作った英語の練習問題を解き直す方法について、次のように書いたとします。

修正前

間違えた問題をもう一度練習するときは、間違えた問題の番号をChatGPTに伝え、答えを隠して順番を入れ替えて出してもらい、解き終わってから答えを見て、自分の答えを確かめましょう。

修正後

間違えた問題を、もう一度解く

  1. 間違えた問題の番号をChatGPTに伝えます。
  2. その問題を、順番を変えて出してもらいます。答えはまだ表示しないように頼みます。
  3. 問題を解いたら、ChatGPTに答えを表示してもらい、答え合わせをします。

長かった一文を、三つの手順に分けました。番号を付けると、何から始めればよいか分かります。小見出しも付けて、何の説明かを示しました。

自分の原稿でも、長くて読みにくい文や段落があれば、AIに修正を頼んでみましょう。直したい文章を渡して、次のように伝えます。

内容を変えずに、長い文や段落を分けて、読みやすくしてください。手順には番号を付けるなど、文章に合った形に整えてください。必要な説明や具体例は残し、原文と修正案を並べて見せてください。

修正案を受け取ったら、前後の文章と続けて読みます。説明が抜けたり、手順の順番が変わったりしていないか確認しましょう。

仕上がりが途中からずれてきたとき、私は、自分の指摘をAIがどう理解したかも聞きます。AIの返答を読むと、目指している完成形が違っていたと分かることがあります。理解が違っていれば、違うと伝えてから修正を続けます。

文章の読みやすさに加え、書かれた情報が正しいかも確かめます。数字や制度について書いたら、根拠となる資料と比べます。自分の体験は、自分の記録と比べます。AIにも点検を頼むなら、根拠と確認できなかった点を示してもらいます。

採用する文章が決まったら、その節の見出しと本文を「本の原稿」に保存します。

次も守ってほしいことを、正本に残す

修正の中には、その一文だけに関係する指示と、次の執筆でも使うルールがあります。

たとえば、「この文に『私は』を加える」は、その文への修正です。「誰の行動か分かるように、主語を書く」は、ほかの節でも使えるルールです。

繰り返し直していることがあれば、正本に同じ内容がないか確かめます。すでに書いてあるなら、ルールを増やす前に、どのルールが、なぜ守られていなかったかをAIと確認します。説明を足した方が伝わるなら、既存の項目を直します。まだ書いていないルールなら、正本へ加えます。

AIから正本の変更案を出してもらった場合も、自分で読んでから採用します。新しいチャットや別のAIで次の節を書くときには、更新した正本と、その節の材料を渡します。(またはフォルダを指定して読み込んでもらいます。)

執筆ルールと採用した本文を分けて保存し、繰り返す指示だけを正本へ残す。

3-4|最後のひと手間で、あなたの考えが伝わる文章にする

AIに本文を書いてもらい、分かりにくい箇所や内容の抜け・重複を直したら、最後に自分の言葉として読み直します。言いたいことは合っていても、「私なら、この言い方はしないな」と思う箇所はないでしょうか。

私は、最後に語尾を変えたり、自分の考えを少し添えたりします。AIへ、文章全体に「あおいらしさ」を加えてもらうこともあります。私は「ふりかけ程度」と考えています。本文を全部書き直すのではなく、言いたいことを保ったまま、少しだけ仕上げます。

普段の自分の言い方に直す

たとえば、次の二つは、同じ内容でも少し印象が違います。言い回しを比べるための例です。

あなたが人に話すなら、どちらを使うでしょうか。どちらが正しいかではなく、普段の自分の言い方に近い方を選びます。「です」「ます」「ですよね」など、文の終わりの言葉を「語尾」と呼びます。語尾を少し変えるだけでも、話しかける感じを出せます。

以前、noteの記事を仕上げたときにも、家のロボット掃除機の話など、数か所に手を加えました。本文全体を書き直すのではなく、最後に自分で少し直すこともあります。

特に伝えたい考えを、一言添える

言い方だけでなく、特に伝えたい考えが抜けていないかも確かめます。

たとえば、「構造化とは、書く内容を整理し、どの章・節で扱うかを決めることです」という文章に、次の一文を添えます。

私は、AIライティングで一番大事なことを聞かれたら、構造化だと答えます。

用語の意味だけでなく、私が何を大事にしているかも伝えられます。これは、自分の考えを加えるための説明用の例です。

あなたも、今の節で特に伝えたいことが、本文に書かれているか確かめてみてください。すでに書かれていれば、同じことをもう一度足す必要はありません。

AIに、文章全体の仕上げを頼む

自分で一文ずつ直すほかに、AIへ文章全体の言い回しを整えてもらう方法もあります。私が最後に「あおいらしさ」を少し加えてもらうのも、この使い方です。

仕上げたい節の本文と、普段の自分の言い方が分かる文章をAIへ渡します。自分で書いた文章や、音声で話した言葉を見本にできます。3-3で作った正本に文体のルールを書いてあれば、それも読んでもらいます。同じチャットに本文や正本がある場合は、どの文章を使うかを伝えます。

私の場合は、です・ます調を土台に、普通の言葉で親しみやすく話します。自分が話した率直な感想や、軽いツッコミも生かします。あなたの本では、あなた自身の普段の言葉を見本にしてください。

次は、その仕上げを頼むために今回作った依頼文の例です。過去のチャットで送った文そのものではありません。本文と文体の見本、正本を渡してから送ります。

文体の見本と正本を読んで、内容と構成はそのまま、普段の私の言い方に少しだけ整えてください。新しい経験や感情は加えないでください。

「あおいらしさ」を出すために、冗談や関西弁をすべての段落へ足す必要はありません。読みやすい説明は生かし、いつもの自分なら使わない言い方を直していきます。

仕上げた文章を、自分でも読む

言い方を変えたり、一文を足したりしたら、その前後も続けて読みます。意味が変わっていないか、必要な理由や具体例が消えていないかを確かめます。

自分の考えを足すうちに別の話を始めていたら、今の節に必要な内容かを考えます。言いたいことがすでに伝わっていれば、無理に足しません。

AIから提案された表現も、自分の考えや言い方に合うものを選びます。気に入った文を採用して、保存している「本の原稿」を更新します。

必要なら、想定している読者に原稿を読んでもらい、「説明が分からなかったところ」「もっと知りたかったこと」を聞いてみましょう。出版前に原稿を読んで意見をくれる人を、モニター読者と呼びます。感想をもとに、説明が足りないところを直せます。

小さなコツ|MDファイルを開いて、直接直す

私はこの教材も、CodexでMDファイルにして、画面の右側に開いてもらい、直接加筆・修正しています。MDは、文章を保存するファイル形式の一つです。

語尾を変えたり、一言足したりする小さな修正は、その場で自分で直せると、とても楽です。文章全体を見ながら編集できるので、前後のつながりも確かめやすくなります。

内容や理由を残したまま、自分の言い方や考えを少し添えて仕上げる。

理解した内容を振り返る